社長へのアプローチ: 小規模企業における営業の秘訣

 

 

社長へのアプローチ: 小規模企業における営業の秘訣

 

これは今からちょうど28年前、25歳の時、私は学び情報誌の出版や広告代理店の業界に転職した。以前にも営業経験はあったが、それはルートセールスの経験に限られ、新規開拓営業は初めてだった。その会社は現在では結構大きな教材教育系の企業となっており、多角経営を行い広告代理業や情報出版事業も展開していた。私はその会社が積極的に募集していたため、面接を受け、運良く合格した。

 

私が配属された部署はチラシなどを制作する部署だった。しかし、隣は広告代理店の部署であり、キャリアという求人広告などを扱っていた。この会社自体は求人広告の営業はしていなかったが、ある意味、この時から求人広告に縁があったのかもしれない。研修の際、隣の部署の方から営業的なトレーニングも受けた。その時のマネージャーは関西出身で、関西人らしくノリが良く、人を魅了する話術とユーモアを兼ね備えた人物だった。彼から受けた研修は非常に引き込まれるものだった。

 

その時教えられた内容の一つに、「従業員数50名以下の中小企業の場合、決裁権はほとんどの場合社長が持っている。だから、中小企業をターゲットにする場合、アポを取るのは人事部ではなく社長であるべきだ」というものだった。

 

なるほどと思い、いざ実践しようとしたが、当時25歳の若造としてはうまくいかなかった。社長やその他の重役にアプローチを試みても、緊張してしまい逃げ腰になってしまった。また、自分のような下っ端が社長にアプローチすることで失礼に思われないかという不安も頭をよぎり、結局は実践できなかった。

 

最初のうちは、「社長さんいらっしゃいますか?」と受付で尋ねていたが、受付の人に関係を詰問されると答えられず、断られてしまった。残念ながら、うまくいかなかった。

 

転職後の求人広告代理店での社長アポの実践

 

その後、私はその会社を辞め、印刷会社を経て求人広告代理店に入社した。そこでも新規開拓営業が中心で、テレアポを用いたアプローチが主流だった。ある時、以前学んだ「従業員数50名以下の会社の場合、社長にアポを取るべき」という教えを思い出し、実践するよう心掛けた。

 

正直言って社長にアポを取るのは難しい。しかし、受付で見破られないように、わざと「いつもお世話になっております、○○の佐藤ですが、●社長お願いします」と言って、古くからの知り合いや取引先を装うことで、何度か成功し商談に至ることができた。

 

社長とのアポの利点は、結論が早く得られる点だ。もちろん、商談がうまくいかない場合も多いが、YESかNOか明確な回答が得られるため、無駄な努力を省くことができる。決裁権を持たない人との商談では、どれだけ良い提案を行っても、結局のところ提案自体が会社の検討材料にすらならないことがよくある。それに対して、社長との商談では大きな金額の取引が可能となることがあり、担当者よりも有利な立場で交渉できる。

 

確かに、提案が全く受け入れられないこともあるが、そのような場合でも、早めにあきらめ、無駄な時間を使わないで済むのは大きな利点だ。
なぜ従業員50名以下の会社の場合、社長アポが有効なのか

 

なぜ零細企業において社長アポが良いのか?。

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例えば従業員数が多い会社や大企業の場合、組織的に権限移譲がされており、
どれくらいまでなら課長、どれくらいまでの決済は部長という具合に、
決済金額の権限が移譲されています。
だから、大きめの会社では決済権者が部長や課長、マネージャーや店長の役職にあることが多いです。
しかし、従業員数が少ない会社ではほとんどの場合、高額な決済については
社長が行うことが多いです。
仮に人事の担当が部長でも、社長の決済で可能となる場合が多いです。
いくら部長を説得して部長がやる気になっても、社長が承認しないと、結局申し込みにはなりません。
中小企業の場合、そもそもアポイントを取るべき人間を間違っていることが原因で契約に至らないケースが多いのです。
そのため、私は中小企業の場合、部長や課長の役職にアポを取るときには、あえて、クロージングの提案を持ってきて、
できれば社長も一緒に同席してくださいと、あえて、2回目のアポイントを求めるようにしていました。
また、そもそも社長のアポだと決断が大抵早いです。
契約は即決で得られ、もしダメならすっぱりと諦めることができ、次の顧客を探すことに注力できます。

 

 

社長へのアポイントメントのコツ

ここで社長へのアポイントメント(以下、社長アポ)のコツを少し伝授しよう。

 

まず、事前の調査は必要だ。いきなり会社に電話して「社長さんいますか」と尋ねても、たいていは営業電話だと思われてしまう。最近では多くの会社がホームページを持っているので、ホームページの会社概要から社長の名前を確認してから電話するのが良い。

 

電話のかけ方にもコツがある。
「佐藤商事の吉田ですが、鈴木社長お願いします」という感じで、少し毅然とした態度が良い。横柄になってはいけないが、気持ちは少し自信を持って、決してへりくだったりしてはいけない。どうしても社長だと緊張してしまうかもしれないが、社長も人間であることを思い出し、対等な気持ちで電話することが大切だ。そうすると、電話の受付もこれは重要な電話だと感じ、社長に回してくれる場合が多い。

 

また、電話のタイミングも重要である。
私はわざと18:00過ぎの夕方にかけることも多い。なぜ18:00過ぎかというと、この時間帯は厳格な電話受付がすでに退社していることが多く、通常は電話に出ないような男性社員などが電話に出ることが多いからだ。電話対応に慣れていない人が電話に出ると、社長につないでくれることが多い。


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