「正社員の営業がアルバイトのテレフォンアポインターより件数で負けるわけ」
営業会社には、コールセンターなどのアポイント専門のテレアポ部隊と営業が分けられている会社と、営業がテレアポからクロージング契約に至るまで行う会社の2つのタイプが存在します。後者のタイプが一般的で、私自身もこれまでの経験の中でほとんどが後者の会社でした。私は、テレアポから営業、契約までを行うことが本当の営業だと信じていました。そのため、まずはアポイントの獲得件数アップを目指し、行動量を重視しました。
入社初年度は、顧客がまだいないため、テレアポが主な仕事でした。そのため、テレアポに集中でき、件数もそこそこ獲得できました。しかし、2年目、3年目と経験が増えるにつれて、自分にも固定客ができてきます。それに伴い、原稿作成や固定客への対応など、その他の業務にも時間を割く必要が出てきて、テレアポだけに集中するのが難しくなります。その結果、テレアポの獲得件数が減少していきます。
私は3年目になると、自身のテレアポ獲得件数の減少に気づき、これが新規案件獲得能力の減退に等しいことから、危機感を覚えました。
当時、私たちは数名のアルバイトのテレアポインターも雇っていましたが、そのアルバイトの方が私よりもアポイント件数を倍取っていたことから、さらに焦りを感じました。
正社員よりアルバイトの方がアポイント獲得件数が多い現実
この後、私は転職やアルバイトの経験を通じて、さまざまな営業組織やコールセンターでの営業やテレアポの経験をし、最終的に以下のことに気づきました。他の業種に移っても、実は同じ光景が見えるのです。熟練した正社員の営業ほどアポイントを取らない。逆に、アルバイトの方がアポイント獲得件数が多いという事実に目を向けました。
なぜこのような結果になるのか。様々な要因がありますが、一番の原因は次のようなことです。アルバイトのテレアポと正社員の営業がテレアポを取る目的が異なるということです。アルバイトのテレアポは、アポイント獲得件数だけが目的です。そのアポイントが契約になろうがなかろうが、それは関係ないのです。そのため、多少のオーバートークをして、ほとんど契約する気がない、見込みの低いお客様でも、何とか強引に取ってしまいます。
高い角度のテレアポだけをとろうとするとスランプに陥る
しかし、営業マンのテレアポは異なります。テレアポ件数が目的ではなく、その後の契約が目的です。そのため、熟練の営業マンほど、見込みの低いお客様にはアポイントを取りません。挨拶アポも取りません。なぜなら、毎月の売り上げ目標があるため、余計な動きができないからです。また、アポイントを取ったら基本的に自分が訪問するため、あからさまなオーバートークもできません。訪問した際に、電話の時の話と全く異なることになってしまうからです。
ただ、ここで問題があります。自分でテレアポをして会社に訪問し、契約まで獲得するスタイルの営業マンは、すべてが感じているジレンマが存在します。
高い確度のテレアポだけを取ろうとして頑張ると、件数の獲得が思うように進まず、減少してしまいます。これが原因でアポイントが獲得できないという悪いスパイラルに陥り、スランプになるのです。私自身も、何度もこのようなスランプに陥り、メンタル的に苦しんだ経験があります。アルバイトのテレアポの方が自分より能力が高いのではないかと考えるようになりました。
しかし、アルバイトのテレアポはある意味で契約に対して無責任なため、アポイント獲得がしやすいのです。営業マンは、そこで自分と比較してはいけません。
これは、私が実際に経験したからわかることです。何度かの転職を経て、転職の合間にコールセンターで半年ほどテレアポのアルバイトをしました。その時は、トップクラスの獲得件数を記録しました。契約可能なアポイントを取らなければいけない、確度を考慮してアポイントを取らなければいけないといった考えから解放されたため、多少強引でも取りました。その結果、毎月だいたいコールセンターの中で1位から3位までの獲得件数でした。
これらの経験により、多くのことを学びました。