会社の創業期は、結局「電話営業」から始まる。綺麗ごとゼロの起業リアル奮闘記

会社の創業期は、結局「電話営業」から始まる。綺麗ごとゼロの起業リアル奮闘記

会社の創業期は、結局「電話営業」から始まる。綺麗ごとゼロの起業リアル奮闘記

創業融資

「よし、これで独立だ! 世の中をあっと言わせるサービスを作るぞ!」

 

大いなる野望を胸に会社を立ち上げた創業期。しかし、いざスタートを切ってみると、目の前に広がっているのは輝かしい未来……ではなく、「圧倒的な、なにもなさ」です。

 

お金はない。人脈もない。もちろん実績なんてゼロ。
「これからはWebの時代だしね」と格好いいホームページを作ってみたものの、アクセス解析のカウンターは身内が確認した「1」のまま微動だにしない。広告を出そうにも、財布の底が見えている。

 

特にBtoB(法人向け)事業を始めた人間が、この「四面楚歌」の状態で最後に行き着くのは、いつの時代も決まってここです。

 

そう、「電話営業(テレアポ)」という名の、最も泥臭い戦場です。


【実録】「実績は?」と聞かれた瞬間に凍りつく、あの恐怖

今の時代、SNS、Web広告、SEO、MEO、紹介、異業種交流会……スマートに見える集客手法はいくらでもあります。もちろん、どれも効果はあります。

 

でも、創業直後の会社にとって、これらは「タイムラグ」という名の悪魔を連れてきます。
SEOは成果が出るまでに半年以上かかる。広告は一瞬で資金を溶かしていく。紹介営業なんて、そもそも紹介してくれるだけの実績や信頼関係がまだ地球上に存在していません。

 

その点、電話営業は違います。
リストを用意して、受話器を握り、ダイヤルを押せば、「今日、この瞬間から」市場に殴り込みをかけることができる。

 

しかし、ここからが本当の地獄の始まりです。
創業期の電話営業で本当に精神を削られるのは、断られることそのものではありません。「実績が何もない」という丸裸の状態で戦わなければならないことです。

 

ある起業家の、忘れられない苦い記憶

 

あれはIT系のBtoBサービスで起業したばかりの初夏。手作りのリストを前に、緊張で汗ばむ手で受話器を握りしめ、ある企業に電話をかけました。

 

「あ、もしもし! 〇〇法人の導入事例とかって、何かありますかね?」

 

運よく担当者につながり、少し興味を持ってもらえたと思った矢先の質問でした。私の心臓はドキンと跳ね上がります。事例? そんなものあるわけがない。今月立ち上げたばかりなんだから。

 

「えっと……現在、複数の企業様と……その、お話を詰めている段階でして……」

 

嘘はつけない。声がみるみる小さくなり、完全にうろたえる私。電話の向こうの担当者の温度が、一瞬で絶対零度まで下がるのがわかりました。

 

「あ、そうなんですね。じゃあ、どこかで実績が出たらまた教えてください」

 

ガチャ。ツーツーツー……。

 

会社名を発信した瞬間にガチャ切りされる。受付の段階で「結構です」とマシーンのようにあしらわれる。
「自分たちの存在は、この社会に全く求められていないんじゃないか?」
夕方、静まり返ったオフィスで1人、受話器を置いたまま動けなくなる。そんな精神がすり減る日々を、多くの起業家が通ってきています。

今どきテレアポは古い? いいえ、最強の「高速・市場調査」です

「今どき電話営業なんて昭和の遺物でしょ」
そう言うマーケターもいます。確かに、相手の都合も考えずに強引に売り込むだけの電話は、ただの迷惑行為です。

 

しかし、資源のない創業期において、電話営業ほど「レバレッジ(てこの原理)の効く強力なツール」はありません。なぜなら、電話営業の本質は、単にモノを売ることではなく、「市場の生データ(顧客の本音)をダイレクトに回収する作業」だからです。

 

  • 初期費用はほぼ「通話料」のみ。
  • Web広告では絶対にわからない「断られるリアルな理由」が1秒でわかる。
  • ターゲットの悩み、価格の壁、説明の分かりにくさが、相手の「声のトーン」からダイレクトに伝わる。

 

 

 

 

綺麗にデザインされたパンフレットを眺めていても、売れるサービスは作れません。
「受付で断られるなら、最初の一言(ベネフィット)が弱いのでは?」
「価格が高いと言われるなら、見せ方を変えてみようか」
断られるたびにトークを削り、提案を研ぎ澄ましていく。電話営業は、あなたのサービスを市場に適応させるための「超高速PDCAサイクル」そのものなのです。

 

奇跡の1件:世界がガラリと変わる瞬間

電話営業を続けていると、ある日突然、その「瞬間」が訪れます。
100件断られ、101件目。

 

「あ、それ、ちょうど今困ってたんだよね。一度話聞かせてくれる?」

 

砂漠でオアシスを見つけたような衝撃。急いで資料を持って訪問し、不器用ながらも熱意をぶつけ、ついに頂けた「御社にお願いするよ」の言葉。

 

この「最初の1件」の重みは、のちに会社が大きく成長したあとの100件、1000件の受注よりも、はるかに重い価値を持ちます。

 

なぜなら、この1件によって、あなたの会社は以下のように180度激変するからです。最初は利益が出ない格安の案件かもしれません。条件が厳しいかもしれません。でも、創業期における最初の顧客は「神様」です。彼らのおかげで、次からの電話営業のトークには「確固たる自信」という強烈なエネルギーが宿るようになります。

創業期は、綺麗ごと(ブランディング)の前に「泥」をすすれ

オフィスをお洒落に内装したり、格好いいロゴを作ったり、最新のマーケティング用語を並べたり……起業すると、どうしてもスマートに格好つけたくなるものです。でも、ビジネスの現実は冷酷です。売上がなければ、どんなに崇高な理念も3ヶ月で消えてなくなります。お金がない、実績がない、信用がない。この「ないない尽くし」の暗闇から抜け出す唯一の方法は、「こちらから泥をすすってでも、顧客の懐に飛び込んでいくこと」だけ。その泥臭いアプローチの筆頭が、受話器を握りしめる電話営業なのです。今日、あなたが断られたその1本の電話は、失敗ではありません。未来の巨大な実績を組み立てるための、大事な基礎石です。さあ、目の前の受話器を上げましょう。そのダイヤルの先に、あなたの会社を劇的に変える「最初の1人」が、今も待っているかもしれません。

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